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    授業内容詳細

 計量経済学特論Ⅲ
   Special Lecture on Econometrics Ⅲ
授業科目区分
専門科目・経済理論科目群
担当者 深瀬 澄(教授)
テーマ 経済現象に関する実証的アプローチの分析能力の修得(3)
キーワード 時系列分析,経済予測,政策効果の分析,ボラティリティ変動モデル,単位根検定,共和分検定,VARモデル,インパルス反応分析
開講年度
2018
開講時期
前期
配当年次
修士2
単位数
2
授業の目的及び概要 経済学の分野では、GDP、株価、為替レートなど、多くの時系列データが扱われる。時系列分析の目的は、このような時系列データが持っている多様な特徴を記述できるモデルを構築し、それらのモデルを基に、目的に応じた分析を行うことである。分析の目的としては、まず、時系列データに関して何らかの予測を行うことが挙げられる。次に、変数間の動学的関係を明らかにすることが挙げられる。また、政策評価なども行われる。このような分析を行うために必要な、時系列分析の手法を修得させることが、本講義の目的である。具体的には、VARモデル、ボラティリティ変動モデル、単位根、共和分などを扱う。
科目の位置づけ(DPとの関連) この科目で身につける知識や能力は、学位授与の方針(DP)に定める、学生が本学における学修と経験を通じて身につける知識や能力のうち、以下に該当する。
 1. グローバル化・複雑化する経済現象の分析方法としての理論的、実証的及び歴史的アプローチを修得している。
学修の到達目標 本講義の学修目標は、経済学の分野で扱われる様々な時系列データの分析に必要な時系列分析の手法について講義し、学生が各自の研究テーマに応じて、修士論文の作成に必要な時系列データの分析を行う能力を修得させることである。具体的な到達目標としては、以下のテーマ例のような実証研究に対応できる学術的な統計手法の修得を期待する。

学修成果の実践例
1、経済成長率、民間企業売上額の予測モデル
2.経済・ファイナンスデータの変動に関する時系列分析
3.中国と日本の株式市場の関係の分析
4.中央銀行の金利変更が経済へ及ぼす影響の分析
5.スポットレートとフォワードレートの関係の分析(共和分モデル)
6.為替レートと物価の関係の分析共和分モデル
7.株価データを用いた分散ポートフォリオの構築
8.ポートフォリオがもつリスクの評価モデル


授業の方法 ほぼ、Enders, W.(2014)," Applied Econometric Time Series, 4th-ed.", (Wiley.)に準拠して、理論的な理解を深めるとともに手法の活用法を身に着けることも重視し、講義とPCによる実習とを併用した授業を行う。


毎回のPC実習におけるレポート(出力結果および考察)により、受講生の理解を確認する。
課題に対してはフィードバックを実施する。
授業外の学修(予習・復習等) ■「計量経済学特論Ⅰ」「計量経済学特論Ⅱ」の単位取得者を対象とする。
(学部レベルのマクロ経済学、証券論の知識についても前提とする。)
■授業計画で毎回取りあげられるテーマと内容を確認し事前に予習するとともに、授業後は復習し、知識・技能の定着に努めること。
テキスト・参考書 ■参考書:
Enders, W.(2014), Applied Econometric Time Series, 4th-ed., (Wiley.)
沖本竜義・井上智夫訳『時系列解析(上下)』シーエーピー出版株式会社
(Hamilton, J.(1994), Time Series Analysis, Princeton University Press.)。


■PC実習用の計量経済ソフト(必須教材):
「Eviews 10 学生版」 for Windows & Mac (DL)
直販価格(税込) :¥8,640 (税抜:¥8,000)
大学を通しては扱えないので、各自で下記サイトより入手すること。
https://www.lightstone.co.jp/eviews/prices_stu.html

■PCソフトの操作マニュアルとして、
初心者向け:縄田和満『Eviewsによる計量経済分析入門』(朝倉書)    
中級者向け:北岡・高橋ほか『Eviewsで学ぶ実証分析の方法』(日本評論社) 



成績評価の基準・方法 以下の評価項目によって総合的に評価する。
①PC実習レポート(50%):
毎回の分析課題についての出力結果および考察)
②中間レポート試験(20%):
課題:「株式市場におけるボラティティ分析」
③期末レポート試験(30%):
課題:「VARモデルによる金融政策による製造業生産額に及ぼす効果の分析」

秀:90点以上、優:80点以上、良:70点以上、可:60点以上、不可:60点未満


第1回 自己回帰(AR)モデルと移動平均(MA)モデル

経済学の領域で取り扱われる時系列分析で、典型的な分析モデルとして、AR(自己回帰)、MA(移動平均)、ARMA(自己回帰移動平均)の定式化およびそれらの特徴を講義する。

第2回 ARMAモデルとARIMAモデル

AR、MA、ARMA、ARIMAなどの中から最適なモデルを選択し、予測を行うためのボックス・ジェンキンス法について講義する。

第3回 【PC実習】ARIMAモデルによる「日本の金融市場データの分析」

ARIMAモデルを用いて、日本の利子率(短期貸し付け金利)の予測について実習をする。

第4回 【PC実習】季節性と SARIMAモデルによる「法人企業売上額データの分析」

SARIMAモデルを用いて、季節変動を含む法人企業売上額データの分析について実習をする。

第5回 ARCH,GARCHモデル

「ボラティリティ変動モデル」とは、ARモデルの考え方を分散(ボラティリティ)が特徴的な変動をする金融市場の分析に応用した手法である。基本的なARCHモデル、長期にわたる条件付き分散の自己相関構造を少ないパラメータでを記述するGARCHモデルについて講義する。なお、ARCHモデル考案者のロバート・エングル教授は2003にノーベル賞を受賞している。

第6回 【PC実習】ARCH,GARCH,EGARCHモデルによる「鉱物資源消費量の推定」

「鉱物資源消費量」の推定について、ARCH,GARCH,EGARCHモデルの分析手法による結果の違いを比較検討する。

第7回 単位根問題と単位根検定

経済データが定常過程(トレンドがない、平均回帰性をもつ)の性質を満たさない場合、これまで学んだ定常時系列モデルによる分析は使えない。そのようなデータの分析に有用な、単位根過程の性質について講義する。

第8回 【PC実習「銀行貸し付け金利の変動」の単位根検定 

日本の利子率(短期貸し付け金利)の変動について、単位根過程を検定するための代表的な単位根検定である、ディッキー・フラー検定、フィリップス・ペロン検定の実習をする。

第9回 「見せかけの回帰」問題と共和分検定

回帰分析において、複数の独立した単位根系列(ランダム・ウォーク)を用いた結果は定常的となる(見せかけの回帰問題)が全く信頼できない。このような共和分関係の検定を行うための、エングル・グレンジャー共和分検定、ヨハンセン共和分検定について講義する。共和分検定考案者のロバート・エングル教授とクライブ・グレンジャー名誉教授は2003にノーベル賞を受賞している。

第10回 【PC実習】共和分検定により「金融政策分析モデル」の妥当性をテストする 

時系列データ特性の違い(①確定トレンドの有無、共和分方程式における、②定数項の有無、③線形トレンドの有無)に応じた、ヨハンセン共和分検定の使い分けについて実習する。誤差修正項を用いてVARモデルで表現するための、誤差修正モデルについても解説する。

第11回 VARモデルの推定とインパルス反応分析

ベクトル自己回帰(VAR)モデルは高精度の経済予測も使えるが、ここでは政策効果の分析のために、インパルス応答関数について講義する。

第12回 【PC実習】2変数VARモデルの使い分け1

2変数ともに定常系列の場合について、VARモデルの定式化とその利活用について実習をする。

第13回 【PC実習】2変数VARモデルの使い分け2

2変数ともに単位根をもち、共和分関係に(ない/ある)場合について、VARモデルによる分析を実習をする。

第14回 【PC実習】構造VARモデルによる「経済政策が実体経済に及ぼすショックの影響分析」

実務上のパラメータ識別問題を、短期制約(政策当局の認知の遅れ)と長期成約(中立性命題)により対処する

第15回 【PC実習】VARモデルの実証例「金融政策効果の実証」

これまでに学んだ知識の総括として、マネタリーベース、消費者物価指数、為替レート、TOPIX、鉱工業生産指数のデータを用いて、金融政策の効果を実証する