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    授業内容詳細

 経済統計学特論
   Special Lecture on Economic Statistics
授業科目区分
専門科目・経済理論科目群
担当者 深瀬 澄(教授)
テーマ 経済学の実証分析にとって必要なデータの統計処理
キーワード 経済全般にわたる統計データの所在,国民経済計算,産業連関表,経済波及効果・雇用創出効果,コーホート法,基本統計量,カイ2乗検定,寄与度・寄与率,ローレンツ曲線・ジニ係数
開講年度
2018
開講時期
前期
配当年次
修士1・2
単位数
2
授業の目的及び概要  経済学の様々な領域に共通して必要な経済統計資料の出所、そのデータの性質、特徴等を解説し、実証分析にとって必要なデータの統計処理に関する手法や考え方を詳述する。これらの修得すべき内容を、現実の統計資料のうち、様々な領域に共通して必要な産業連関表、国民経済計算、鉱工業生産指数、景気動向指数、物価指数、賃金指数といった重要な統計データを取り上げるなかで講義する。さらに受講生の理解を深めるため、関連するテーマごとに演習を課す。そしてこのことによって、受講生が将来取り組むべき課題に対しても応用できる分析力が身につくようにしたい。
科目の位置づけ(DPとの関連)  この科目で身につける知識や能力は、学位授与の方針(DP)に定める、学生が本学における学修と経験を通じて身につける知識や能力のうち、以下に該当する。
 1. グローバル化・複雑化する経済現象の分析方法としての理論的、実証的及び歴史的アプローチを修得している。
学修の到達目標  実証的な学修研究に際して、経済学の様々な領域に共通して必要な経済統計データの出所、特徴、性質などに関する知見を理解する。その上で、実証分析にとって必要な記述統計的な指標の意味するところ、指標作成の手順、様々な指標との関連性などを、講義と演習を通して修得することが本授業の目標である。
授業の方法 授業は表計算ソフトを使用したPC実習形式とし、テキストに記載されているインターネット上のサイト(主に総務省統計局を中心とする中央官庁)より、毎回のテーマの分析に用いる最新に経済データを入手する。原データには手を加えず保存し、複製したデータについて、教員の解説にしたがい、表計算ソフトを使用しながら分析作業を進めていく。必要に応じて適宜資料を配布する。

実習終了後は、毎回の分析テーマについて、下記1~4を実習レポートをにまとめて提出してもらう。提出された実習レポートより、受講生の理解を確認する。

実習レポート記載内容(A4用紙に2枚以下にまとめる)
1.テーマに関する現状分析
2.分析概要
3.分析結果
4.結論および考察

課題に対してはフィードバックを実施する。

授業外の学修(予習・復習等) 授業後は実習内容をレポートにまとめながら復習するとともに、テーマに関する現状について知識を深めること。また、実習では分析しなかったテーマに関連する経済データについても、参考文献に記載された解説を読み、知識を広めることが望ましい。
テキスト・参考書 テキスト:
 御園謙佶・良永康平編『よくわかる統計学Ⅱ 経済統計編(第2版)』ミネルヴァ書房


参考書:
 梅田雅信・宇都宮浄人『経済統計の活用と論点』東洋経済新報社
 井上勝雄『経済統計の計量分析』ミネルヴァ書房
成績評価の基準・方法 実習レポート(60%)
期末試験(40%):表計算ソフトを用いた統計分析問題


 秀:90点以上、優:80点以上、良:70点以上、可:60点以上、不可:60点未満


第1回 【人口】-年齢階級別人口構造変化(コーホート法)

少子高齢化が進展する中で、将来の年齢階級別の人口構造がどのように変化していくか、「国勢調査」データに基づいてコーホート法を用いて予測する。

第2回 【家計】-所得格差(ローレンツ曲線、ジニ係数)

GDPを構成する様々な支出項目のうち、民間の消費支出が最大項目であって、その動向は重大であると言える。年収と消費支出の格差、費目別消費支出の特徴、各階級間の所得と支出の格差といったテーマに関して、様々な記述統計とローレンツ曲線、ジニ係数といった分析手法を実習する。

第3回 【食料】-食生活の平準化(平均、標準偏差)

日本国内の食生活において、かつては地域による違いが大きかったが、時代とともに平準化してきたことを実証する。

第4回 【物価】-物価指数(ベクトルの内積)

所得や、財・サービスの生産量や消費量といった経済変量の実質量を把握するため、名目と実質を識別する物価指数を理解しなければならない。消費者物価指数、企業物価指数の資料を取り上げ、ラスパイレス方式、パーシェ方式、インプリシットデフレータなど算式を実習する。

第5回 【労働】-賃金の属性別比較(χ2乗検定)

賃金基本構造調査よりデータベースを作り、属性の違いによって賃金分布に差があるか、χ2乗検定によって検証する。

第6回 【企業】-経営状態の分析(企業財務分析)

財務省「法人企業統計」より、ROA(総資本利益率)や総資本回転率等の財務指標を算出し経営状況を比較する

第7回 【国民経済】-成長会計による要因分析(寄与度)

GDPの支出項目に焦点を当てた経済成長を概観する。さらに、国内総生産GDPの成長にどの産業の生産がどれだけ寄与したかを数量的に把握する。経済成長の要因を概観するのである。

第8回 【財政】-財政の健全化(プライマリーバランス)

プライマリーバランス(基礎的財政収支)の長期的な推移より、わが国の財政再建の政策効果を考察する。

第9回 【金融】-銘柄別株価の記述統計(基本統計量)

株価変動の分布状況をリターン、リスク、歪度、尖度ほかの基本統計量を用いて記述する。

第10回 【国際収支】―輸入関数の推計(非線形回帰)

GDPの増加関数、内外価格差による減少関数として、対数線形型の輸入関数を想定し、最小2乗法によりパラメータを推定する。

第11回 【産業連関分析1】-理論(連立方程式)

生産要素およびその要素報酬、さらには消費財、投資財、投入財といった財・サービスと、それらを交換する市場といった基礎的な概念を踏まえて、投入産出表による経済循環の把握を講義する。投入産出表の見方、投入係数の定義とその利活用について講義し、これらの概念に馴染むべく問題演習を行う

第12回 【産業連関分析2】-線形数学(逆行列)

産業連関システムにおける派生需要の分析のために、行列ベクトル表示したシステムにおいて、行列の逆行列を定義する。逆行列の議論を中心とした線形数学に親しむ。

第13回 【産業連関分析3】-波及効果(行列積)

実際の産業連関表を提示する。投入係数、各産業の需要と供給、ある産業の需要増加による他の産業への波及効果、所得への波及効果、雇用創出効果を計算し、経済学的思考を深める。

第14回 【エネルギー】-電力需要予測(時系列分析)

経済変量を、経済社会に内在する変動要因、気候や社会制度に起因する1年周期の季節的変動と、不規則的変動とに分解し、初歩的な時系列分析による予測を実習する。

第15回 【余暇】-ワークライフバランスの最適配分

所得と余暇を変数とするコブダグラス型の効用関数を仮定し、効用を最大化するようなワークライフバランスの配分問題を例として、数値解析的なシミュレーションによる最適化問題の解法を修得する。